いつ起こるかわからない地震。被害を少しでも抑えるには、日常の備えが重要です。
特に室内では、家具の転倒や移動が大きな被害をもたらすことがあるため、対策は必須。今回は、自宅やオフィスの地震対策に役立つグッズや、正しい使い方をご紹介します。
地震に備えるには室内の安全対策が重要
大きな地震の際には、建物には被害がなくても、家具の転倒や移動、物品の落下などによってケガなどの被害を受けることがあります。
震度4になると、室内にある不安定なものが倒れたり落ちたりし始め、震度5弱になると、固定していない家具が倒れるおそれがあります。
高層ビルの上層階などで発生しやすい、ゆっくりとした揺れが長く続く長周期地震動が起きると、室内の被害はさらに大きくなります。倒れた家具や散乱した物品で避難経路が塞がれてしまうことも。
災害対策の基本である備蓄や非常持ち出し品の準備、連絡手段や避難方法の確認に加えて、室内の安全対策に取り組むことが重要です。
家具は固定して転倒防止
背の高い本棚やキャビネット、食器棚、冷蔵庫などは倒れやすく危険なため、必ず固定しましょう。
固定方法には、ネジや粘着器具で壁下地(柱や胴縁など)に固定する方法や、突っ張り棒タイプ(ポール式)の器具で天井に突っ張る方法などがあります。どちらの方法も家具と取付場所に十分な強度が必要なので、取り付け前によく確認しておきましょう。
固定方法でもっとも効果が高いのが壁への直接固定ですが、突っ張り棒タイプの器具とストッパーやマットなどを併用することでも、効果を高めることができます。
壁や家具を傷つけず設置できる「ガムロックnewBB・newMB」
「ガムロックnewBB・newMB」は、震度7の揺れにも耐える粘着材方式の転倒防止器具。ベルト+強粘着ゲルで固定しながら柔らかに衝撃を吸収することで、高い耐震性を発揮します。
家具の上部後方に取り付けるので目立ちにくいうえ、ネジ式と異なり壁や家具を傷つけず簡単に設置可能。レイアウトの変更や引越しなどの際にはきれいに剥がせ、器具も再利用できるのがポイントです。
ガムロックnewBBは上部固定限度(※)300kgで、大型家具やオフィス家具の固定に向いています。
(※)上部に取り付ける転倒防止器具が支えられる最大の重さ
ガムロックnewMBの上部固定限度は、150㎏。一般家具や家電のほか、PCモニターやテレビ、平面部分がないメタルラックの固定(※ポール径25mmの場合の壁とポールの間隔は5cmまで)も可能です。
また、newMBのベルト部分はバックル式なので、掃除などで一時的な移動が必要な際には簡単に取り外しできます。
【正しい設置方法】
ガムロックは、テープがしっかりと貼れ、空気や水を通さない素材の壁に利用できます。よごれやほこり、水分や油分などを取り除いてから圧着しましょう。
設置の際は、ベルト部分がなるべく水平に近くなるようにし、わずかにたるませた状態で固定します。ベルトが張ってしまうと使用しているうちに外れてしまうことがあるため、注意してください。
【剥がし方】
専用のリムーバー(取り外し器具)を使えば、力をかけずにキレイに取り外せます。接着プレートの両端にリムーバーを差し込んでおくと、ガムロックが時間とともに浮き上がってきます。 あとは壁紙が剥がれないように気を付けて、ゆっくりと手で剥がせばOKです。
壁への固定が難しい場合には突っ張り棒タイプが◎
家具の上面と天井で固定する突っ張り棒タイプ(ポール式)の転倒防止器具は、壁に固定するのが難しい場合に便利です。ネジなどを使わないため、賃貸住宅での利用にも適しています。
【正しい設置方法】
2本セットで使用し、家具の両端のできるだけ奥側に取り付けます。天井の強度が必要になるので、天井が弱い場合には当て板を行いましょう。
なお、突っ張り棒タイプの転倒防止器具は、単独では壁面固定タイプより固定効果は高くありません。家具の下面にマット式やストッパー式の転倒防止器具を併用することで、効果を高められます。
滑りや落下は粘着マットで防止
マット式の転倒防止器具は、家具の下に敷き、衝撃を吸収することによって転倒やズレを防止します。家具だけでなく、モニターやテレビの固定や落下防止にも使えます。
ただし、大きく重量のある家具の固定は、粘着マットだけでは不十分です。壁面への固定や突っ張り棒と併用することで、高い転倒や移動防止効果が期待できます。
食器棚などの開き戸の飛び出し対策方法
開き戸タイプの収納は、揺れが大きいと戸が開いて、中に入っているものが散乱するおそれがあります。中でも食器棚は、食器類が外に飛び出して、割れることもあるため危険です。
開き戸の飛び出しを防ぐには、揺れを感じたら自動的に扉をロックする、耐震ラッチを取り付けるのがおすすめです。
また、ガラス扉の場合は、衝撃や転倒で扉が割れることもあるので、ガラス飛散防止シートを貼っておくと良いでしょう。
スチールラック・オープンシェルフ・本棚の落下対策方法
スチールラックなど、オープンタイプの棚は、日常的には物品の出し入れがしやすく便利な反面、構造上揺れで収納物が落下しやすくなります。
落下対策には、棚に固定ベルトや落下防止バーなどの取り付けが有効。本棚の場合には、棚板の手前側に飛び出し防止用のテープを貼っておくのも良いでしょう。
また、転倒対策として本体の壁や床固定が難しい場合には、転倒防止ベースを用いる、ラック同士を固定するなどの方法があるので、あわせて検討をおすすめします。
キャスター付き家具の対策方法
キャスター付きの家具は、そのままでは揺れた際に動いてしまいます。
日常的に移動させるものは、キャスター付属のロックや着脱式ベルトで、動かす必要のないものはキャスター受けなどで固定しましょう。
地震に強い部屋づくりのポイント
大きな地震が発生した場合には、家具の転倒防止対策を行っていても、100%転倒を防止できるわけではありません。家具が倒れても、被害の少ない配置にすることも大切です。
高さのある家具は、倒れても出入口を塞いだりガラスを割ったりしない場所にレイアウトします。
また、強い揺れが発生したときに身の安全を確保できるスペースを確保しておく必要があります。寝室はできるだけ転倒リスクの少ない背の低い家具を選ぶか、寝る場所に向けて倒れない方向に設置します。
収納は、低い部分に重いもの、高い部分に軽いものを収納すると、安定性が増すのでおすすめ。家具の上には落下すると危険な重いものや割れるものを置くのは避けてください。
なお、長周期地震動が発生すると、背の低い家具や家電も移動しやすくなります。特に、吊り下げ式の照明や水槽、ウォーターサーバーなどは大きく揺れ転倒や落下のリスクが高いため、専用の器具で対策を行ってください。
地震による家具の転倒や移動、物品の落下対策は、固定が有効。適切な対策を正しく行い、室内の安全性を高めましょう。
次回もお楽しみに!