

整理整頓されたオフィスでは、生産性が向上し、作業効率もアップします。
しかし、整理整頓の大切さはわかっていても、オフィスの整理整頓を進めるのはなかなか大変。
今回はオフィスの整理整頓の進め方や、進めるうえで重要なポイント、さらに整理整頓された状態を維持するコツまで、ハード面、ソフト面ともにご紹介します。
整理整頓とは
「整理整頓」の「整理」と「整頓」は、よく似た言葉ですが、それぞれ違った意味があります。
「整理」は「乱れたものを片づけること・きちんと整えること」、「整頓」は「散らかり乱れているものを、きちんと片づけること・置き場を整えること」という意味です。
トヨタが行っている、職場環境を効率化し、生産性を向上させるための手法「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動」では、整理とは不要なものを捨てること、整頓は必要なときに取り出せるようにすること、と定義されています。
整理整頓で得られるメリット
整理整頓は、集中力アップやミスやケガの防止、セキュリティ強化、コミュニケーション向上など、様々なメリットにつながります。
快適に働ける環境を整えるためには、整理整頓が大切です。

生産性の向上と作業効率アップ
整理整頓をすることで、どこに何があるかを全員が把握できる状況になり、ものを探す手間がなくなります。
また、作業スペースが整えられ、広く確保できるようになるので、作業がスムーズに行えて作業効率がアップします。
働きやすさが実感できるようになれば、モチベーションもアップ。生産性も向上します。
さらに、整理整頓によって見通しがよくなることや、すっきりしたレイアウトになることにより、コミュニケーションも取りやすくなり、心理的安全性(組織のなかで自分の意見や気持ちなどを安心して発言できる状態のこと)の向上にもつながります。
心理的安全性の向上によって、組織全体の生産性も高めることができます。
コスト削減
整理整頓することで、ものを探す無駄な時間やコストが削減可能に。
不要な物品や在庫も整理整頓して削減すれば、無駄なスペースや管理コストも削減できます。
安全性の向上
整理整頓がしっかり行われていれば、散らかったケーブルに引っかかったり、乱雑に置かれた道具や段ボールなどにつまづいたりして転倒する危険を避けることができます。
また、地震の際に棚の上に置いたものが落ちてきたりすることもなく、有事の際の避難経路もきちんと確保できます。
セキュリティの向上
どこに何が置かれているかわからない場合、重要書類や機密文書などもきちんと保管されていない可能性が。
整理整頓され、重要なものがどこにあるかわかっていれば、持ち出されるリスクも減少します。
また、クリアデスクポリシー(情報セキュリティ保護のための指針の一種。机上に情報媒体を放置しないことにより、機密を守るためのセキュリティポリシーのこと)を従業員に浸透させ、それぞれが機密情報やPCのパスワードやアクセス情報を保護する意識を持ってデスクを整理整頓しておくことで、不正利用があってもすぐに発見できる環境に。
不正利用や情報漏洩などのリスクを防止できます。
オフィス環境の向上
整理整頓されていると、掃除もしやすくなり、清潔なオフィスが維持できます。美観的効果も高まるので、取引先や顧客、就職希望者などの心証も良くなります。
整理整頓の進め方
整理整頓は、整理→整頓の順に進めます。取り出す、分ける、収納する、の3つのステップで行いましょう。

ステップ① 片付けるものをすべて取り出す
まずは整理整頓の対象となるものを一旦すべて取り出し、全体量を把握します。
片付ける範囲が広い場合には、デスク周り、キャビネット、というように場所ごとに区切って片付けるとスムーズです。
ステップ② 必要なものと必要でないものに分ける
「過去1ヶ月間に使用したかどうか」「今後利用する機会が明確に決まっているかどうか」「電子データがあり再発行・再入手できるか」など、判断基準を明確にして、必要なものと必要でないものに分けましょう。
必要でないと判断したものは破棄を。
破棄する場合には、個人情報が記載されているものはシュレッダー処理を徹底します。
必要かどうかの判断に迷うものは、保管期間を決めて一時的に保管しておき、期限がきた時にあらためて判断して、必要であれば決められた場所に収納します。
ステップ③ 必要なものを収納する
必要なものをすべて収納できる収納用品を購入し、取り出しやすい場所に収納していきます。
よく使うものは出し入れしやすく定位置に戻しやすい場所に、たまに使うものは保管室に、といったように収納していくと、使ったものを片づけやすくなり、整理整頓された状態をキープできます。
整理整頓で重要なポイント
整理整頓を進めるうえで、重要なポイントをご紹介します。

可視性を意識
オフィスでは多数の人が物品や資料を共有するため、誰が見てもわかるように整理整頓する必要があります。
ラベリングをしたり、置き場所を周知したりして、何がどこにあるかをオフィスにいる人全員がわかるように収納しましょう。
アクセス性を高める
”取り出しやすく、戻しやすい”を心掛け、使用頻度に応じて整理整頓をします。
使ったものをすぐに戻せるようにするためには、片づけが面倒にならないようにアクセス性に配慮することが大切です。
よく使うものの定位置は近くに設置しましょう。
柔軟性を大切に
働き方や人員の変化に応じて柔軟に対応できるやり方にするのも大切です。
パーティションの代わりに移動できる書棚やラックを使って収納スペースを増やしつつ、人員の変化に対応できるレイアウトにしたり、後で捨てよう→捨て忘れて散らかる、をなくすために個人専用のゴミ箱を設置したりなど、変化や個々の事情に対応しやすい整理整頓を心掛けましょう。
オフィスの整理整頓を維持するコツ
ルールを作る
「使ったものは決められた場所に戻す」「毎週〇曜日はデスク周りの整理整頓をする」「離席前のクリアデスクを徹底する」など、整理整頓のルールを作ると、整理整頓を維持しやすくなります。
ルールを守って整理整頓ができている部署や個人を表彰制度を作って評価するのも、整理整頓の意識をオフィスに浸透させるのに有効な方法のひとつです。
ペーパーレス化する
ペーパーレス化して片付けなければならないものを減らすのも、整理整頓を維持するコツ。デジタル化すればリモートワークもしやすくなり、働き方が選べて生産性がアップします。

オフィスのペーパーレス化のメリットについては、こちらの記事でも詳しくご紹介していますので、是非参考にしてみてください。
定期的に見直しをする
ルールや収納場所などは定期的に見直しをし、その時の状況に適した状態にします。
無理があると破綻してしまうので、成果や整理整頓のしやすさを繰り返し検証しながら、それぞれのオフィスに合った整理整頓の仕方を模索し、習慣化させていきましょう。
デジタルデータも整理整頓して作業効率アップ!
整理整頓が必要なのはPCに保存しているデータも同じ。
フォルダがきちんと整理整頓できていれば、ほしいファイルをすぐに見つけることができ、仕事が効率的に行えます。
ミスの防止や、人への共有もしやすくなるなど、メリットがたくさんあるので、コツを押さえてデジタルデータも整理整頓しましょう。
フォルダは3階層まで
フォルダは階層を深くしすぎると、必要なファイルにたどり着くまでに何度もクリックが必要になってしまいます。
第1階層は部署別、第2階層は年月度別・プロジェクト別・顧客別、第3階層は案件別・用途別などのように、3階層までを目安にするのが理想です。
また、フォルダを整理してあっても、フォルダの中に多くのフォルダがあったり、ファイルが並んでいたりすると目的のデータを探すのに時間がかかってしまうので、20列くらいまでにおさまるようにしましょう。
フォルダ名やファイル名のつけ方をルール化する
どこにどのファイルが保存されているのか明確にするため、通し番号をつける、日付をつける、記号を統一するなど、フォルダ名やファイル名の付け方にルールを作っておくと便利です。
用件ごとにファイルを分け、よく使うフォルダは上にくるようにすると、データを見つけやすくなります。
定期的に古いデータをまとめる
ファイルが増えれば、増えた分だけ目的のファイルを探しにくくなります。
あまり使わなくなった古いフォルダやファイルは、「旧ファイル」「過去フォルダ」などのフォルダを作ってまとめておきましょう。
一定期間更新されていないデータや今後使う予定のないデータなどは、別の外付けHDDや保存媒体に移動させて保管すれば、データ自体が減るので必要なファイルを探しやすくなり、ストレージの空き容量も増やせます。
まとめ
オフィスを快適に保つことができれば、様々な面でメリットをもたらしてくれます。
皆が働きやすいオフィスにするために、整理整頓を進めて職場環境を改善しましょう。
次回もお楽しみに!