vol.12 ワークスペースはどう変わる?ウィズコロナ時代のオフィスの考え方

コラム012

新型コロナウイルスの流行で、私たちオフィスワーカーにとって「会社ではたらく」ことが当たり前ではなくなるという、非日常を経験することになりました。業務のオンライン化やテレワーク・在宅勤務が広まり、それらが新しい日常として受けいられるようになった今、オフィス空間に求められる役割や要素にも変化が現れています。

ウィズコロナ時代のオフィスはどう変化するのか、全3回(「オフィスの考え方編」「デスクレイアウト編」「ミーティング編」)にわたってお届けしていきます。
今回は、ニューノーマルに対応したオフィスレイアウトの考え方についてご紹介。これからのオフィスが果たしていく重要な役割、またワークスペース(執務席やミーティングスペースなど)に必要な要素について考えていきましょう。

01. ウィズコロナ時代のオフィスの役割とは

テレワークの普及と生活様式の変化

これまでの私たちは、「毎日決まった時間に会社に行き、直接顔を合わせる環境」で仕事をしていました。それが緊急事態宣言を機にテレワークや在宅勤務が普及し「会社に行くことなく、オンラインで繋がる環境」へと変化しました。
オンラインで繋がることがノーマルになった今、オフィスという空間そのものが持つ意義も、改めて見直さなければなりません。社員が分散しても仕事ができる環境下で、オフィスが存在する意義とは何でしょうか?

これからのオフィスは「良質なアウトプットを生み出す場」に

従来のオフィスは「業務の効率を上げるための場」としての機能が重視されていましたが、ウィズコロナ時代はどうでしょうか。

この半年ほどでオフィスとテレワークの仕事環境の違いを実感された方も多いと思います。
例えば、「大きなデスク」「集中できる環境」「プロ仕様の機器類」「サンプル・資料が手の届くところにある」「意見交換によって多角的な視点を得る」というのは自宅に完備するのはなかなか難しい要素です。
逆に言えばオフィスだからこそ叶えられることでもあります。

こうした要素を備え、より良質なアウトプットを生み出す場となるような仕掛けが、これからのオフィスには必要になると私たちは考えています。

(PFC:プラスファニチャーカンパニー)

02. 良質なアウトプットのための「ABW」促進&感染対策

オフィスを「良質なアウトプットを生み出す場」とするには、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング=仕事内容に応じて自分で働く場所を選ぶ)がしやすい空間としながら、新型コロナウイルス対策も重要なポイントです。
それでは、空間の使い方はどう変わるのか、新しいオフィスの考え方を詳しく見ていきましょう。

オフィスは「広々と」「セミクローズに」

①一人当たりの面積が広くなる
ソーシャルディスタンスをベースとしたレイアウトになるため、これまでと変わらないオフィス面積であっても、社員一人当たりの面積が広くなります。

②クローズドからセミクローズに(換気重視)
換気と空調効率を高めるために、これまでのクローズドな空間から「セミクローズな空間」に変わります。

こうしたオフィス空間の変化により、社員一人ひとりが仕事を行う執務席、会議や相談のためのミーティングスペースも大きく変わります。

執務スペースには在宅勤務で出社しない社員の固定席が不要に

週1~2日出社など、テレワークと出社を併用する社員は固定席である必然性がなくなり、オフィス内の固定席の数は減ります。

また、今年4月にプラス株式会社が実施したアンケート(メルマガ会員およびPFC社員計367名)によると、自己完結型の作業(PCでの作業、書類作成、メール返信、考えをまとめるなどのソロワーク)はテレワークでも行いやすく、「ちょっとした相談・報告」「打ち合わせ」「認識を合わせる、了解を得る」といったコミュニケーションはオフィスで行いたい人が多いという結果が出ています。

これからのオフィスは、チームでのコミュニケーションなどグループワークがしやすい空間が必要で、ソロワークに関してもABWなどオフィスならではの環境の良さを感じられるようなレイアウトが求められると言えるでしょう。

ミーティングスペースにはリモート会議用の設備がマストに

テレワークが普及し、コミュニケーションも在宅勤務組と出社組をオンラインで繋ぐケースが増えたと思います。そのため、これからのオフィスのミーティングスペースにはリモート会議の設備が必要不可欠です。
リモートの人とも情報共有がしやすい映像音響設備はもちろん、オンライン商談などのために、周囲の雑音に左右されないような防音パネルなどのアイテムや個室・専用ブースなども必要となるでしょう。

03. 1人当たりの面積はどれくらい広くなる?

これからのオフィスは上記でご紹介した固定席の減少や換気重視の空間構成などのポイントを踏まえ、1人当たりの面積が算出されることになります。
従来のオフィスレイアウトの考え方は、所属人数で面積が算出されており、「1人当たりの面積の平均は9.1㎡/人 (2.8坪/人)」、また「一人当たりの面積のボリュームゾーンは7.7㎡~10.5㎡/人」(いずれもPFC社内資料調べによる)が目安でした。

では具体的にどう変化するのかモデルプランを見ていきましょう。

【モデルプラン概要】
・床面積:1,146㎡(347坪)
・対象人員:145人

・一人当たりの面積 7.9㎡/人(2.4坪/人)
・執務席数:145席(出社率100%を想定)

・一人当たりの面積 15.2㎡/人(4.6坪/人)
・執務席数:76席(出社率50%を想定)

【Before】
・一人当たりの面積 7.9㎡/人(2.4坪/人)
・執務席数:145席(出社率100%を想定)

【After】
・一人当たりの面積 15.2㎡/人(4.6坪/人)
・執務席数:76席(出社率50%を想定)

ウィズコロナ時代の考え方を押さえ、出社率を50%と想定した場合、一人当たりの面積は「15.2㎡/人(4.6坪/人)」と、従来の約1.9倍になりました。図を見ても、余白が増えているのがわかりますよね。

この例では同じオフィス面積でレイアウト変更を行った場合ですが、移転などオフィス自体の見直しを検討されている方もいらっしゃると思います。
今のオフィスのまま改善するべきか、移転をするべきかお悩みの場合にはぜひ一度ご相談ください。

今回はウィズコロナ時代のオフィスレイアウト変化についてお伝えしました。
私たちの働き方が大きく変わったことで、オフィスは「良質なアウトプットを生み出す場」となることが求められます。

オフィスに必要な要素や機能、設備も必然的に変わり、変化に戸惑うことも多いかもしれませんが、「多くのことを見直す機会」と捉えていただけたらと思います。
より働きやすく、仕事の質を上げるオフィスづくりができるように、Garageもサポートさせていただきます!

次回は「デスクレイアウト編」、執務席の具体的なレイアウト例などをご紹介します。
どうぞお楽しみに!